麻雀業界日報(保管)

麻雀業界日報(2003~2005)の保管

「千式麻雀」セット

ヒロタシ氏@似非トーラスが今年提唱した新しい麻雀ルール「千式麻雀」.その記念すべき第1回大会が先日開かれたので,千式麻雀ルールと共にレポートしたい.
【千式麻雀とは】
「千式麻雀」とはヒロタシ氏が提唱した新しい麻雀ルール.その要諦は,

  1. 南場は「サドンデス制」
  2. トップ者だけが評価される

という2点にある.
前者の「サドンデス制」とは,東場は通常通りの麻雀を行い,南場は以下の条件を満たす場合に終了となるルールのこと.

    1. ガリがあった場合,アガッた人間がトップ目になる(トップ目がアガッた場合もこれに含まれる)
    2. 流局時に,トップ者が1人確定する
      【追記】これは変更された。現在は「流局時に、テンパイしていた人間がトップ目になる(トップ目がテンパイしていた場合ももちろん含まれる)」となっている。

それ以外の事,つまりアガってもトップにならないアガリの場合は全て次の局に進む.箱下もそのまま続行する.
後者の「トップ者だけが評価される」とは,点棒の多寡による順位は一切つけず,「トップ者とそれ以外」という基準で勝敗を競うことを指す.「千式」とは「1000式」,つまり101方式に倣ってトップ者を"1",それ以外を"0"で表す評価方法の謂いである.
ルールの詳細・理念についてはヒロタシ氏のサイト「似非トーラス」にある「千式麻雀」のページ(http://oak.zero.ad.jp/~zaf93998/1000mj.htm)をご覧いただきたい.
【千式セットの実際】
今週末,世界初の千式麻雀ルールによるセット麻雀を行った.メンツはヒロタシ氏・僧我大明神氏・マジワー氏・izumickの4人.具体的な評価方法は以下の通り.

  • トップ者は,他の3人からチップ1枚ずつ貰う.
  • 「3勝先取制」を採用.最初に3勝した人間が,ボーナスとして更にチップ2枚ずつを貰う.

つまり優勝者は

3(枚) × 3(勝) + 6(枚) = 15(枚)
を得る計算となり,もし勝負が最後までもつれ込んでも(最大9ゲーム),チップ9枚のアドバンテージを得ることになる.
その他は赤3枚入り(ご祝儀なし),アリアリ,テンパイ連荘の一般的な東京フリールールに準拠した.
【レポート】
実際に遊んだレポートを箇条書きで述べたい.

  1. 東場は東風戦の打ち方を意識した.つまりリーチの是非・タイミングを注意深く計ること,ファン牌は1鳴きすること,牌を絞らないこと,などである.
  2. 南場に入ると一転して,メンゼンなら愚形でもリーチ,シカケる場合はアガリの速度最優先といった戦術を中心に据えた.故意にミエミエのテンパイに取る事(相手のサシコミ期待)も試みた.
  3. 南場の点数は関係ないので,テンパイであれば明カンも多用した.「アガること」が不利になる場合が少ない(何しろ,「アガラス」がない)ので,アガリ合戦になる.牌を絞る人間,あるいは指し込みができるレベルの人間がいれば話は違ったかも知れない.
  4. 千式の理念には「チーチャ(最初の荘家)の位置によって有利不利がでないようにする」という一文があるのだが,残念ながらこれは難しいと感じた.1ゲームのアガリ回数を考えた時に,南一局の荘家が一番有利で,南四局の荘家が不利なのは否めない.
  5. 1ゲームの平均時間は30分.3セット(3勝を1セットとする)行って,最初のセットが6ゲーム,次が5ゲーム,最後は6ゲームで終了した.東風戦と東南戦の中間と言ってよい.
  6. 全成績は以下の通り.

【まとめ】
フリー麻雀や東風戦に慣れた人同士で打つセット麻雀のルールとしては,相当面白い.東場が終了して南場が始まる時に,「さあやるぞ」という高揚感があり,一局ごとに緊張感がある.
今回は「3勝先取制」のみを採用したが,オプションを付けるのも面白そうである.例えば2勝している相手の勝利を阻止するアガリに対するチップや,焼き鳥など.「意味のないアガリで終了」することがないので,色々と考えやすい.
逆に,知らない人同士,あるいはナガマン(のんびりと長時間の麻雀)が好きな人には好まれないかもしれない.評価方式が簡単すぎるため,遊びの部分が少なくてフリー麻雀としても根付きにくいだろう.
正直に言えば,最初ヒロタシ氏からルールを聞いた時,堅苦しくて守備的な麻雀になるのではないかと予測していた.しかし実際は全くの逆であり,東風とブーと競技麻雀,それぞれの面白さをいいとこ取りした,しかも現在の「アガリ至上主義」の風潮に合った優れたルールである.最初は1セットだけの予定(その後普通に遊ぶ予定だった)が,3セットまでやる事になったという一事が何よりの証明である.
最後に,このルールに興味を示された方,やってみたいという方はお気軽にコメントください.お待ちしております.
【参考】