麻雀業界日報(保管)

麻雀業界日報(2003~2005)の保管

しほんかがせっくしゅでせめてきた日報

BS麻雀マンガ夜話第7話『天』終了。久々に活気あるチャットで、心弾みながら過ごした。以下覚書。

  • 第1部をどこまでにするかでちょっと揉める。とりあえず「100万円がどーん」あたりまで。
  • 必ず謎があるのが闘牌の魅力。
  • 似ているのは幽白かキン肉マンジョジョか。焦点はやはり第3部(安楽死編)のあつかい。
  • 理不尽でも能力に理由付けすることが大事。
  • 「しほんかがせっくしゅでせめてきた〜」って好きなんだけど、私だけ? あと「喪くなられた赤木しげる……という人は…その…なんていうか…麻雀の強い…」とか。
  • 主人公はそもそも天だったのか?
  • 福本伸行のまとめる意識の弱さ。『銀と金』も未完だし。
  • 第3部は作者がそんなに描きたかったのか?それとも編集側の都合?

いつもどおり、内容についてはヒロタシ氏がまとめてくださるはずなので、詳しくはそちらを。
あと、チャットとは関係ないが、参考にしたのでリンク。

【雑文】原田ラブ (チャットが終わってからガーっと書いたので修正する可能性大)
第3部を、死生観うんぬんから離れて1つの大きな物語の後日譚として捉えたとき、自分が最も興味を引かれるのは原田だ。
原田は徹底して「分かってない」人間として描かれる。最初は力ずくで拉致しようとして拒まれ、お前は棺の中にいる、とアカギに見下され、挙句の果てにはひろゆきにまで「俺と似てる…」とか思われてしまう。良いとこなしである*1
思えば原田はイケてないキャラクターである。第2部では、リアルで健を刺すくらいガチンコなのに、天に「お前と純粋な勝負がしたい」とか言って二人麻雀を始めて負けるし。大体あの二人麻雀、残り5分で自分がリードしているのだったら、一打1分くらいかければ勝ちではないか。しょうもない美学に殉ずる必要はどこにもない。最近の『ミナミの帝王』だったら、その5分で絵を買わされている口だ。
第3部の価値は、そんな原田の後の姿を描いたことにある。彼は二人麻雀で敗北しても何も変わってない。ひろゆきみたいに諦めるでもなし、敗北から学んで成長するわけでもない。どうやら負けたことによる社会的ダメージはさほどでもなく、依然として裏麻雀界に君臨しているように見える。
何よりも彼は、自分が何を求めて二人麻雀をしたかが分かってないようだ。「最高の"時"をつかみたいのさ」って天はわざわざ敵の身になって推測していたが、そんなこと考えてなかったから、9年たってもアカギに見下されるのだ。
この残酷なまでの脇役扱いはしかし、『天』という作品、もっといえば主人公の天をしっかりと支える梁のようなものである。強くてダーティで胆力がある、そこまでは天と同じだけど最後が違う。リアルが浅い。『スプリンター』の最後の黒人アスリート(名前忘れた)にも似た、最強レベルだけど分かってない奴、原田。アカギじゃなくてあくまでも天を倒そうとした男。白六枚入れたり、五筒カンして待ちは五筒だったりするのは恥ずかしくないのに、牛歩戦術はとらないダンディ。天と張り合いながら、最後のところでテンコシャンコで負けてしまう男。名前は克美。
耳を澄ませば、彼のこんな声が聞こえてくる。「お前なんか死んじまえ、うらやましくなんかないや。自分だけは死なないぜ、最後の最後まで積み上げること、生きたがることの何が悪い。」 …そうだお前は悪くない、自分はお前が好きだ。
『天』を改めて読み返して、そんな事を感じたのであった。


【おことわり】
今まで本誌の句読点は半角の「,」「.」をつかっていたのだが、開始1年半を迎える本日より、全角の「、」「。」に切り替えることにした。他の記号・数字については従来どおりである。

*1:ついでにいうと、ひろゆきには最後のエピソードがあるが、原田には全くない