麻雀業界日報(保管)

麻雀業界日報(2003~2005)の保管

「1冊の本」畑正憲さん『これがオレの麻雀』(阿佐田哲也著・双葉社)

東京の地元UHF放送局・東京MXテレビで放送されている「一冊の本」は,毎回1人にインタビューして,自身のお気に入り・思い出の本を紹介してもらう形式の15分番組.
その5月24日(土)朝8:30〜8:45放映分に,作家の畑正憲氏(以下「氏」)が登場し,阿佐田哲也(以下「阿佐田」)の『これがオレの麻雀』を紹介していた.以下に視聴した内容を記す.抜けている部分・記憶違いがあるかもしれないが,ご勘弁願いたい.

  • 氏と阿佐田の出会いは1971年.ちょうど氏が北海道に「ムツゴロウ王国」を建てた年である.初対面からウマがあって,ちょくちょく卓を囲むようになった.
  • 氏が(北海道から阿佐田のいる)東京に来ると,阿佐田はテレパシーのようなものでそれを感知し,ちょうど旅装を解いた頃合に,くぐもった声で「打ちましょうよ」と電話してくる.
  • 『これがオレの麻雀』は,阿佐田が準優勝した「第11期麻雀名人戦」の詳細な自戦記.表紙はモノクロ写真に大きく赤文字で「これがオレの麻雀」,裏表紙は一面ターコイズブルーの中に黒い点で阿佐田の肖像を描いたもの.
  • 氏はこれを繰り返し繰り返し,冊子が真ん中から2つに割れてしまうまで500回は読み返した.読むたびに当時の記憶が鮮やかによみがえり,時には阿佐田と卓を囲んでいるかのように思われることもあった.
  • 1989年の阿佐田の死去以来,氏は麻雀を打つことをほとんど止めてしまった.物足りない思いがするからでもあり,『これがオレの麻雀』を読み返すことで実際に麻雀を打つのと同じような気がするからでもある.
  • 阿佐田の死の2年前に氏は突然麻雀に誘われる.海外旅行を控え,原稿を書き溜めなければならないと一旦断るが,強引な誘いに結局付き合うことになる.朝方に阿佐田の顔は真っ白になり,氏は彼の死を予感する.これが最後の対局だった.
  • 阿佐田が毛虫のような太い指で牌をツモるさま,ゲーム中に居眠り(麻雀好きにとっては,これがナルコレプシーという病気であることは周知の事実だが,番組では触れられなかった)をして頭をこっくりとさせる様子を氏が真似る.懐かしげな表情を残して,いささか唐突に番組は終了した.

何年ごろの制作であるのか,この回の再放送はあるのかなどの情報は残念ながら分からなかった.もとより穴埋め的な番組であり,放送時刻も定まっていないようだ.何か情報があり次第,続報をお伝えしたい.
【参考】