麻雀業界日報(保管)

麻雀業界日報(2003~2005)の保管

コショクトンの麻雀サークル&ラックの起源

オハイオ州の1都市,コショクトンの女性たちが麻雀を始めたというニュースと,アメリカで普通に使われている麻雀器具「ラック」が古いものだというお話を紹介したい.キーワードを登録しておけば,該当するニュースを拾ってメールで知らせてくれるサービス「Google News Alert」からの情報.
オハイオ州の地方都市コショクトン(先住民族の言葉で「水の合わさる所」という意味の地名らしい)の新聞社「コショクトン・トリビューン」.そのサイトの10月10日付の一面は,「Local woman starts own group of mah-jonng players」と題して,地元の女性が始めた麻雀サークルについて特集している.
ただ見出しから綴りが間違っている(mah-jonngではなくてmah-jongg)ことから分かるとおり,特筆すべき内容はない.仕事をリタイアしたおばさんが,仲間を集めて公民館みたいなところで麻雀をはじめたという話題を,麻雀の起源が今もって不明であることや,麻雀が賭博であるというのは間違いであるという主張を絡めてまとめているだけの素朴なものだ.
では何故本紙で取り上げたかといえば,そのニュースの写真の中で「ラック」が使われているから(参考画像).彼女達の手牌は,手すりをさかさまにしたような黒い台の上に乗せられている.これは「ラック(もしくはステーク)」と呼ばれるもので,アメリカの麻雀ではごく一般的なものらしく,1つ5$〜10$程度で通販されている.
麻雀博物館図録』に「欧米人は手が大きいので牌スタンドを使う」といったような記述があるのは覚えていたが,実際に使われている画像を見るのは初めてだった.興味を持って調べてみたところ,1924年アメリカの雑誌記事に記述があるのを発見した.
その記事は,「MahJongPlayer.com」(http://www.mahjongplayer.com/)のアーカイブスに再掲されている「Some Fundamentals of MahJong」(R.F.Foster,1924,ASIA Magazine).ちょっと長めに引用すると(強調筆者),

Tiles of domestic manufacture have the advantage of being more uniform and more easily replaced if lost or broken. Their thinness is no longer an objection, now that racks are so generally used.
ということで,国産の麻雀牌は簡単に取替えがきいたので,その薄さは問題にならず,いまでは普通にラックが使われている,という内容.バブコックがアメリカ西海岸に麻雀牌を持ち込んだのは1922年だから,その最初期からラックは使用されていたものらしい.
自分は業界人として日常的に麻雀に親しんでいるが,実はよその国の麻雀事情には疎い.たまたま見かけた情報をなぞるだけのひとりよがりな記事になってしまったが,お付き合いいただいた方々に感謝したい.
追記:文中の「mah-jonng」が綴り間違いであるという記述は自分の誤りで,一般的ではないものの使用例が見られる.ここに訂正するものである.
【参考】