麻雀業界日報(保管)

麻雀業界日報(2003~2005)の保管

『皇帝の牌』(原作・天願大介&庄司信晴,作画・高野洋,闘牌監修・西聴)(ISBN:4088765737)

2月19日発売,530円.BJ増刊「BJ魂」2003年3月1日号〜2004年1月1日号掲載分を収録(全1巻).天才麻雀少年が伝説の麻雀牌「皇帝の牌」の後継者選びに巻き込まれる話.帯のアオリによれば,「麻雀コミック誌とは一線を画す爽快ストーリー!この一冊で麻雀の面白さと劇画の面白さを満載!」とのこと.物語としては尻切れトンボであり,連載時は何故掲載誌に麻雀マンガが必要だったのか不明だったが,まとめて読むと手堅い企画物に仕上がっている.以下ネタバレ含む感想.

  • ヤンジャン連載中の「国境を駆ける医師イコマ」もそうだが,高野洋の絵は意外と融通が利く.麻雀マンガに必要な荒唐無稽さを無難にまとめている.
  • ネット麻雀しか経験のない少年がリアル麻雀で才能に目覚める.友人に廻銭するシーンでその友人とのレベルの違いを見せつけ,かつ縁切りを自然に見せる.
  • 一発裏ドラアリのネット麻雀を主催するのはマレーシアの華僑,李忠文.「皇帝の牌」に導かれて今の地位を築いたと思しい.
  • 西太后の「皇帝の牌」の後継者を争うのは主人公および以下の3人.君達どうやって会話しているの?
    • マコーミック(北米代表): 90人殺した殺人犯.自分で「毛むくじゃらの天使」などとほざく.でっかい手に小さな筮竹を握り,「易経」の文句をつぶやく.
    • クラウディア(欧州代表): ミラノ大学助教授,認知科学博士.常に冷静かつ局面を見る打ち筋なのだが,主人公の単純なヒッカケ(しかもマナー違反)にひっかかる所はカッコ悪い.美人らしい.
    • ペドロ君(南米代表): 下半身不随にしてゲームの天才.母親に指示をして打つ.これといった見せ場はない.
  • いよいよ主人公の使命が明らかになるところで終劇.肝心の「皇帝の牌」がパチモンくさいのは致命的だが,10年後も古びない,低め安定の良作といえるのではなかろうか.

【参考】