麻雀業界日報(保管)

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バッドノウハウと「奥が深い症候群」

ネタに困ったので人の文章を麻雀に引き写してみた.元ネタはこちら,バッドノウハウと「奥が深い症候群」.著者の高林哲さんはWEB上で広く使用されている日本語全文検索システム「Namazu」の作者として名高い.


麻雀をやっていると、何でこんなことを覚えないといけないのだろうか、とストレスを感じつつも、それを覚えないと仲間と麻雀を楽しむことができないためにしぶしぶ覚えなければならない、といった類のノウハウは多い。そうした雑多なノウハウのことを、本来は知りたくもないノウハウという意味で、私はバッドノウハウと呼んでいる。


バッドノウハウは、麻雀の複雑怪奇なルールが歴史的にひきずられ、根本的な改善は行われないまま、そのノウハウが文書によって受け継がれることによって蓄積が進行する。麻雀業界で広く使われているルールとしては、完全先付け,リンシャンツモの符なし,連風牌刻子の4符づけ,リャンシバ,場ゾロ,西入などは,麻雀の多様性を保証するルールであると同時に、その複雑怪奇な使用によって長年にわたってユーザを苦しめ続け、バッドノウハウの温床として悪名が名高い。こうしたルールに関する書籍やWeb上の情報などの充実は、バッドノウハウが文書によって受け継がれていくという性質をよく表しているといえる。

バッドノウハウがはびこる大きな理由は、ルールの策定者にゲームのトータルバランスに対するセンスが欠如していたり、場当たり的なルール拡張が度重なって行われたり、単に自分が勝利するために都合のいいようにルールを決めてしまうといったところにあるが、別の理由によるものも根深いと私は考えている。それは、そういった使いにくいルールを使いこなすことに対して、「奥が深い」といって喜びを見出す「奥が深い症候群」によるものである。

一般に、マニアという人種は普通の人にとってはどうでもいいような知識を熱心に覚えることに喜びを見出すものだが、これが麻雀マニアになると「奥が深い」といってバッドノウハウを薀蓄として披露することによって、より一層の喜びを得るという心理的な働きも「奥が深い症候群」を進行させる一因となっているようだ。

本来遊びにくいルールが長年に渡って「奥が深い」定番としてありがたがられ、そのバッドノウハウの習得にユーザが不毛な時間を費やすことを強いられるのは、この「奥が深い症候群」に根深い原因があるのではないかと考えている。
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