花見沢Q太郎『月家の一族プラス』 (ISBN:4886537804)
7月7日発売.表題作のほか,1999年に雑誌「近代麻雀ゴールド」に掲載された2本の麻雀マンガが収録されている.
花見沢Q太郎は近年とみに甘さとヌルさを増してきた注目すべきマンガ家の一人.多作ではないが昨年来精力的な活動を維持し,現在は魅惑の2色カラー・ラブコメ『ももいろさんご』をヤングキングに連載中.
また出版元の大都社は先月の『スイカと海と太陽と』に続き,作者の旧作を2ヶ月連続で再刊している.その余禄として,2度と見ることがかなわないと思っていた作品を読むことができた.両者の英断に心から感謝したい.
収録されているのは次の2作品.
内容はこの作者のいつもどおり.後者に若干麻雀の知識が要求されるが,なくとも問題ない.業界人として麻雀に関係する部分に触れるとすれば,
- 「染屋」はホンイツによく走る人のあだ名だが作品内容とは特に関係ない.
- 「信長麻雀」というソフトは最近発売されたが,この作品に出てくる麻雀店とは関係ない.
- 「染屋」に描かれている闘牌シーンはセオリーにかなったもの.
といった点であろうか.
ところでこの作品が載った雑誌「近代麻雀ゴールド」は,いわゆる近代麻雀3誌(キンマ・オリジナル・ゴールド)の中で対象としている読者の年齢層がもっとも高い.雑誌内の現在のお色気担当が「不思議なピーチ牌」のとみさわ千夏であることからもそれは明らかだ.そこに花見沢Q太郎の絵を見たときの違和感は強烈であった.
この作品は山口譲司「あら慰安▼(ハートマーク)ナイト」(2002年7月号),朔ユキ蔵「ヌキまくり」(2003年5月号)…今も連綿と続く,ゴールドの不思議なエロ読み切りの源流なのか,それとももっと昔から続いているのか,引き続き調査していきたい.
【参考】
- オンライン書店bk1内,花見沢Q太郎検索結果: http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_result_book.cgi/3e5f2bd51bd9b0102d20?aid=&kywd=%B2%D6%B8%AB%C2%F4Q%C2%C0%CF%BA&ti=&ol=&au=&pb=&pby=&pbrg=2&isbn=&age=&idx=2&gu=&st=&srch=1&s1=za&dp=
- キャラクターデザインは池上遼一,XBox用麻雀ソフトの怪作「信長麻雀」: http://www.e-frontier.co.jp/products/game/shincho_majan/