麻雀業界日報(保管)

麻雀業界日報(2003~2005)の保管

遊び方がわからないモンゴル麻雀?

モンゴル青海省モンゴル族の間には「達羅(ダーロウ)」という麻雀に似た遊びがあるが,遊び方は誰も分からないらしい,というお話.中国の新聞「解放日報」からの情報.
「解放日報」8/9付の記事「格爾木(ゴルムド)の退職教師は複製することに成功する"モンゴルのマージャン"」 (日本語訳)によれば,青海省格爾木(ゴルムド)の街の民族工芸品展覧会に出品された遊具が注目を集めているという.
その遊具「ダーロウ」は紅柳の木でできた牌にモンゴルの縁起物やマスコットを彫ったもので,枚数は60枚,100枚,112枚とまちまちである.これを息子に作らせた退職教師の巴拉桑先生の話をまとめると,

    1. 先生が大学在籍中,モンゴルに関する文献で「ダーロウ」というゲームがあることを知った.しかしどんなゲームかは分からなかった.
    2. 1986年に,民間の芸人に教わって,ダーロウの絵を描いたが,依然としてルールなどは不明のままだった.
    3. その後,先生の友人がモンゴルの親類を尋ねた際にダーロウの遊び方を学び,帰ってきて先生に教えた.パオ(モンゴルの住居)の中で座を組み,テーブルではなく地面に直接置くが,自分の手牌を持ち,ツモって捨てる,麻雀とほぼ同じ形式のゲーム.
    4. しかしながら,その友人も老人の話を聞いただけで,実際に遊んでいるのを見たわけではない.先生はこれが麻雀に似ていることから,「モンゴル麻雀」と勝手に名づけ,記念に1つ作らせた.

ということである.
何やら雲をつかむような話で,だまされている気がしないでもない.「新華網」(中国の大手新聞サイト)にもほぼ同じ記事が載っており,エイプリルフールという訳ではなさそうだが,そちらの記事「いつの日かまた“Darrow”は本来の色で」 (日本語訳)には,

という専門家の談話がのっていて,どうやら青海省だけに伝わっているらしいことがうかがえる.
自分の語学力では表面的な意味しか読み取れないし,青海省の地理など無知に等しいので,真偽のほどが何とも分からない.ただ上記の話が本当だとすれば,全く図案の異なる麻雀スートが存在することになり,非常に興味深い.
ダーロウの研究はまだ端緒にもついていない状態で,情報を得るのは厳しそうだが,続報があればお伝えしていくつもりである.何かお分かりの方は,コメントにてお知らせいただければ幸いである.
【参考】

【追記】
調べているうちに,「モンゴル文化フォーラム」という掲示板で上記の記事の元と思われる文章を発見した.

内容を要約すると,

    1. ダーロウには「花牌」「筒牌」「生肖牌(干支の牌?)」の3種類がある.
    2. 「筒牌」はいわゆるピンズと同じだが,数字は1から12まであり,その大小を競うらしい.
    3. 「花牌」はモンゴルの伝統的図案を彫ったもので,「蘭子」「賽熱」「要国栄」「三同」の4種類があるが,使い方は良く分からない.
    4. 「生肖牌」については,他の2つより価値が高い,ということだけが分かっている(訳に自信なし)
    5. モンゴル族が,モンゴル高原からゴルムドのあるツァイダム盆地に移動してきたのは16世紀の初めごろと推測されている.もしこの説が正しければ,ダーロウも同じころやってきたので(何故こう断定できるかは不明),少なくとも500年の歴史があることになる.
    6. ダーロウの勝負でイカサマを使われて,一晩で財産の羊すべてを失った人もいる,という老人の昔話.
    7. 何故ダーロウがすたれたかといえば,1つは文化大革命のため,もひとつは貴族の遊びになって,庶民では遊ばれなくなったためと推測される.

という話である.
後,巴拉桑先生は「台吉乃爾(タジナアル?)志」という地域史の本を書いたモンゴル族出身の偉い人であることも分かった.依然として情報元が1つしかないのは不安だが,とりあえずガセネタである可能性は低いと思われる.